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2025/6/2

茶道部のススメ(2):茶道部の稽古ってどんなことするの?〜点前・水屋・片付けまで

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こんにちは、茶人見習いです。

前回は「茶道部ってどんなところ?」という全体像をご紹介しました。今回はもう少し踏み込んで、茶道部の稽古で実際にどんなことをしているのかを紹介していきます。

「お点前って具体的には何するの?」「水屋ってよく聞くけど何?」という疑問に、できるだけやさしくお答えします。


稽古の流れはどんな感じ?

茶道部の稽古は、学校や部の方針にもよりますが、たとえばこんな流れで行われていました:

  • 放課後、茶道具を部室または稽古場所に運ぶ
  • 炭やお湯の準備(水屋の設営)
  • 先輩や先生の指導のもと、順番にお点前の稽古
  • お客役と点前役を交代しながら稽古を繰り返す
  • 最後に道具の片付け、掃除、次回の準備
  • 一回の稽古は2〜3時間ほど。始めたばかりのころはわからないことだらけでしたが、少しずつ「今日はあの所作が上手くできたかも」という手応えが増えていきました。


    お点前ってどんなことをするの?

    お点前とは、抹茶を点ててお客様に出す一連の動作のこと。袱紗(ふくさ)を捌いたり、お茶碗を清めたり、お湯を注いだり──と一見すると決まりきった手順に見えるかもしれませんが、実はひとつひとつの動きに意味があります。

    たとえば、お茶碗を持ち上げるスピード、お辞儀の深さ、帛紗をさばく所作──どれも“おもてなし”の心をどう形にするか、という工夫の積み重ねです。

    最初はなかなか覚えられず混乱するかもしれませんが、何度も繰り返すうちに、自然と流れが身につくようになります。


    客の作法も学ぶ?

    はい、実は茶道部では「お客さんとしての動き」も練習します。お茶碗の受け取り方や、「いただきます」「ごちそうさまでした」にあたる言葉のやりとりもその一部です。

    作法を覚えるのは大切ですが、それ以上に大切なのは“感謝してお茶をいただく気持ち”を行動に込めること。多少手順を間違えても、気持ちがあれば大丈夫です。

    ちなみに、「結構なお点前でした」と口にすることは実際にはあまりありません笑


    水屋(みずや)ってなに?

    水屋は、お茶会の舞台裏。お茶碗を洗ったり、お湯を準備したり、点前に必要な道具を整えたりする場所です。

    大勢のお客さまをもてなす茶会では、水屋の動きがとても大切になります。表でお茶を点てる人だけでなく、裏方の力があるからこそ、お茶会は成り立っているのです。

    特に茶道部では、準備や片付けも自分たちで行うため、水屋での作業が欠かせません。流派によっては本格的な炭を使って炉を準備することもあり、私の所属していた部活では毎回灰型を整えていたため、水屋の仕事も重要な稽古の一つでした。

    一般的なお茶会では、水屋は茶室内の様子を見ながら臨機応変に動く必要があるため、点前も水屋の動きも理解している経験豊かな年長者が務めることが多いです。

    一方、茶道部では基本的に皆が同年代。だからこそ、部内の誰かが水屋を担い、自然とその役割を早めに学ぶことになります。

    もちろん、先生がそばで見守ってくれたり、部活で同じ環境を経験してきた先輩が丁寧に教えてくれたりと、安心して経験を積める環境が整っています。こうした積み重ねが、学生時代ならではの貴重な学びにつながります。


    準備と片付けも稽古のうち

    お茶の世界では「道具をどう扱うか」も大切な稽古の一つです。たとえば、茶筅(ちゃせん)や棗(なつめ)、お茶碗など、ひとつひとつを丁寧に出し入れする。

    これは単なる準備や片付けではなく、“道具を大切にする心”を形にする時間でもあるんです。

    茶道部では、道具の管理から場所の設営、(場合によっては)炭の準備まで自分たちで行います。炭を使う部活はそう多くないかもしれませんが、私の部活では毎回灰型を整えていたのでなかなかの重労働でした。

    こうした一連の作業を通して、「自分たちで一つのお茶会をつくっている」という実感も得られます。

    ちなみに、一般的な稽古場では先生や経験の長い方が準備や片付けをしてくださることも多く、その点では初心者にも入りやすい一面があります。ただ、道具の扱い方や灰型の整え方などは、習得まで時間がかかる部分でもあるので、それらを早いうちから実践を通して学べるのは、茶道部ならではの貴重な経験だと思います。


    まとめ:稽古は地味だけど、じんわり楽しい

    茶道部の稽古は、派手さはありません。でも、静かな時間のなかに集中と気づきがあって、気がつけば自分の中に何かが少しずつ積もっていく──そんなにじみ出るような楽しさがあります。

    そして、そんな日々の稽古が、やがて茶会という「おもてなしの場」に結びついていくのです。

    次回は、いよいよその「茶会」について──学生の茶道部だからこそできる特別な経験をご紹介します。

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