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2025/6/4

茶道部のススメ(4):茶道部の人間関係ってどう?〜学生部活ならではの距離感と学び

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こんにちは、茶人みならいです。

今回は、茶道部の「人間関係」についてお話しします。

静かでおだやかなイメージのある茶道ですが、部活としてやっていると、実は人間関係の濃さを実感する場面がたくさんあります。良いこともあれば、ぶつかることもある。でも、だからこそ得られた学びがありました。


同年代が集まるからこそ生まれる難しさと面白さ

茶道離れが進んでいる昨今、街の稽古場では同年代に出会えることはあまり多くありません。実際、私が通っている稽古場でも、男性は1割ほどで年齢層もかなり高く、最年少になることがほとんどです。

その点、茶道部では同じようなレベルの同年代が自然と集まり、一緒に学び、切磋琢磨できるという、貴重な環境が整っています。

茶道部は基本的に、同じ学年や少し年の近い先輩・後輩たちと活動を共にします。

上下関係がしっかりしている部活もあれば、ゆるやかでフラットな雰囲気のところもありますが、どちらにせよ「同じ空間で一緒に学ぶ」ことが多いのは共通点です。

ただ、茶道には所作やルールが多く、それぞれのやり方にこだわりが出やすい世界。

だからこそ、ちょっとした言葉のすれ違いや価値観の違いが見えやすく、人間関係に気をつかう場面も正直ありました。

でもその一方で、同年代だからこそフランクに話せたり、試行錯誤を共有できたりするのもまた事実。

「この道具どう思う?」「ここのタイミング難しいよね」などと意見を言い合える関係性は、先生との稽古では得られない、部活ならではの空気だと思います。


茶道部ならではの運営面での衝突も

文化系の部活とはいえ、茶道部ではイベントや茶会の準備など、運営に関する仕事も多く発生します。

・誰がどの役割を担うのか ・どのくらいの頻度で集まるのか ・代替わりのタイミングで何を引き継ぐか

といった話し合いが必要な場面も多く、時には意見がぶつかることもありました。

特に、茶道という「正解のない世界」のなかで、何を大切にするかは人によって異なります。

「きっちりやりたい人」と「無理なく続けたい人」とで温度差が出てしまうこともあります。

でも、最終的には「誰かがやらないと回らない」という現実もあって──

衝突を避けるのではなく、「どう折り合いをつけるか」「どう納得して協力し合うか」を学べたのは、部活という場ならではだったと思います。


トラブルがあっても、だからこそ得られる信頼感もある

ときには人間関係で悩むこともありましたが、振り返ってみると、それらの経験は「一緒に何かを乗り越えた」という感覚に変わっていきました。

私自身、何百人も来場するような大規模なお茶会の主管を任されたとき、自分の力不足で部員から糾弾されまくって、心痛めたことがありました。(ぶっちゃけ「もう少し手伝ってくれてもよかったのでは…?」と思ったことも)でも、なんだかんだ他の人に助けてもらいながら、なんとかやりきることができた。そうやって、感謝の気持ちを知る場面も多くありました。

代によって雰囲気の違いはありますが、たとえそのときはぶつかっても、時間が経てば適度な距離感でつながっていける。そんな柔らかい人間関係も、茶道部ならではかもしれません。特に私の同期は、上下の代と比べてもぶつかりまくってかなりギスギスしていました。でも、なんだかんだ卒業後の茶会の参加率は高く、今でもときどき連絡を取り合えるくらいには仲良くなれた──そんな関係性も悪くなかったのかもしれません。

また、点前の動作ひとつ取っても「なぜこの所作があるのか?」と疑問に思うことがあります。点前は必要最小限に洗練された動きの集まりである以上、すべてに意味があるはずなのに、当初はよくわからないものも多かった。同じレベルの同期がいたからこそ、そういった素朴な疑問を一緒に調べたり議論したりできた時間がありました。後で本を読んだり、先生に聞いたりして、合っていたり、ちょっとずれていたり──そんなやり取りも含めて、茶道を深める楽しさだったと感じます。

形式ばらない、でもちゃんとあたたかい関係があった──というよりは、色々な人がいて、ときにぶつかり合いながらなんとか続けてきた。その積み重ねの中で、自然と育まれていった関係だったと思います。

上下関係も「ちゃんと育ててもらった」と思える先輩がいて、自分が後輩を見る番なんだと意識が変わった瞬間がありました。文化系の部活でありながら、上下関係はそれなりにしっかりしていましたが、ギスギスした雰囲気ではなく、打ち上げではちゃんと盛り上がるような、和やかさのある空気感でした。


まとめ:人と関わる力もまた、お茶の一部

茶道部で得られるのは、お点前や所作の技術だけではありません。

茶道に興味のある同年代と出会い、同じ目線で語り合ったり、時にぶつかりながらも一緒に学べるという経験は、実はとても貴重なものです。

というのも、茶道離れが進んでいる今、街の稽古場では同世代と出会う機会はそう多くありません。年齢層が高めのなかで、自分が最年少になるというのはよくあることです。

それに比べて、茶道部では自分と似たようなレベルの、同年代の仲間たちと自然に出会えます。限られた学生時代だからこそ実現しやすい、貴重な環境です。

もちろん、近い距離感だからこそぶつかることもありましたが、それも含めて、学生時代の茶道部という環境だからこそ味わえる、特別な経験だったと、今では強く感じています。それは、稽古場ではなかなか得られない時間でした。

一緒に学び、悩み、支え合っていくなかで、人と向き合う力や言葉の使い方を学べたことは、今振り返っても大きな財産です。

部活という小さな社会のなかで、人と関わりながらお茶に向き合う時間を持てたことは、これからお茶を続けていく上でも、きっと自分の支えになってくれると思っています。

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